FUMIYUKI BEPPU BY EKOI

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― デザイナーより ―
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Fumyは、観客の声援を受けてゴールしたときの爽快感は
ロックスターがステージで感じるそれと同じかもしれないと語りました。
私は熟練したプロサイクリストだけが味わえるその爽快感を
デザインに昇華できないかと考えました。
その結果、プロサイクリストの人生を
1つの音楽としてとらえたデザインが完成しました。
前回の黒基調のジャージに呼応する真っ白なジャージ。
カラーバリエーションとして極薄いグレー、
そしてフォリッジグリーンを合わせて提案しています。
新しい人生という意味も込めて葉の色を選びました。
要素として使われる鮮やかな色の邪魔にならないアースカラーです。
奇をてらったデザインではしていませんが、Fumyの歴史や人間性を表現し、
ファンの心に残るプロダクトとなるよう心がけてデザインしています。
私は2009年、シャンゼリゼを走るFumyの姿をテレビ中継で見ながら、
彼の走りを讃えたグラフィックを出会いにしました。
そのグラフィックが同年Fumyと合うきっかけとなりました。
それから親交は続き、2022年にこのようなヒストリカルなジャージを
フランスのブランドであるEKOIとともに表現できる事を大変嬉しく思っています。
奥野真行
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― Main Graphic ―
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音楽の要素を取り入れたグラフィックデザインです。
ムーブメントとは「動向」の意味ではなく、
音楽用語における「楽章」という意味です。
フランスに渡った日本人青年がプロロードレーサーとなり、
引退するまでの長い年月、
毎日着用しトレーニングを支えてきたジャージ。
所属してきた各チームのカラーに染められた1から8までの
タイポグラフィはFumy自身の象徴でもあります。
「1to8」の集合体はそれぞれの時代を走り抜けた8人のFumyが組織するプロトンそのもの。
その鮮やかな色の組み合わせは、Fumyが17年間かけ32カ国を回って演奏してきた楽曲だと捉え、
このグラフィックはFumyの「第1楽章」を表現しています。
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― Sub Graphic ―
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ロゴ
別府史之を表すロゴタイプ「FB」
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“Attacca”
終止符が引かれた小節は第1楽章の終わりを意味しています。
「ATTACCA/アタッカ」とは
「止まらずに、次の楽章を続けて演奏」という楽譜上の指示として用いられる言葉。そしてアタックを意味する言葉でもあります。
プロ選手としての人生に区切りをつけ、
休むことなく新しい物事に取り組んでいくFumyの現在、
そして誰もが記憶している2009年夏、
シャンゼリゼを駆け抜けたあの日のFumyを同時に暗喩しています。
人生は、各々が自由に奏でていく音楽のようなもの。
Fumyは独自の「第1楽章」を演奏しました。
私たちも皆それぞれの「第1楽章」を演奏してきています。
その意味を自由に受け取れるよう、
譜面には音符を配さず、意図的に空白の五線紙にしています。
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“2ème. mouvement.”
「第2楽章」を表すタイポグラフィ。
これは第1楽章を表す「1to8」に続いて、
「現在→未来」を表しています。
Fumyの活動拠点はフランスのため、フランス語で表記。
襟の内側に入れるグラフィックのため
着用者以外には見えない作りとなっています。
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2つのギターピック
ポケットの中には2つのギターピック。
これらは第2楽章を共に奏でていく
FumyとEKOIの関係性を表しています。
「HEAVY」はハードな楽曲を演奏する人には
好まれる通常よりやや厚いピックに表記される印。
それはタフなサイクリストとしてのFumy、
そして世界各国のアスリートをサポートし続ける
EKOIの企業姿勢を表す意味も兼ね備えています。
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スペースシャトル
Fumyの走行距離は地球から
月への距離を既に超えています。
月を通過しても、なおも止まらずに自転車で
走り続けるFumyの姿をスペースシャトルに投影。
月の満ち欠けは、そのライドに費やした
膨大な時間をイメージしています。
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― Graphic for Bib ―
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Fumyの顔には
La Pomme Marseille時代の傷跡が残っています。
その落車で負った傷、30針の縫い跡は
辛く厳しい競技人生の象徴でもあります。
しかし、
それらを乗り越えてハードな競技人生を
大いに楽しんできたFumyのポジティブさの象徴。
そんなことを考えながら、30針の縫合跡、
外科用の針を使ってスマイルマークをデザインした。
辛いけど楽しいイメージ!
「Ped.」とはピアノなどの鍵盤楽器の楽譜に使われる記号。
「今ペダルを踏みなさい」という指示になります。
自転車に置き換えると「今ペダルを踏みなさい」は
よりハードコアな意味合いになります。
「ped.」をビブショーツのデザインに使うことで、
あなたのライドは以前よりハードなものになるはず。
気持ちを高ぶらせるタイポグラフィです。
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